また、君に恋をする
「由紀?ちょっといい?」


両親が寝静まった頃、勇人が由紀の部屋を訪れた。

ベッドに腰を下ろすと、ぐるりと部屋を見渡し、小さく笑う。


「俺と話したくないなら黙ってていいから、聞いて」


由紀は勇人に背を向けたまま黙って頷いた。


「俺、あっちに戻ることにするよ。

俺がいる事で由紀が辛い思いしてるんだとしたら、それももう終わるから…

もう由紀を困らせる事はしない…約束する…

だから、由紀…最後に笑顔を見せてくれないか?」


勇人がいなくなる。

グッと締め付けられるような胸の痛みが襲う。

困ってなんかいない。

来るしんでもない。

そう言いたいのに、声が出ない。

目頭が熱くなり、涙が込み上げる。

前の私ならきっと、泣き縋っているのかもしれない。

でも、今の私はそれがどうしても出来ない。

苦しくて、悲しくて、涙が止まらない。
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