また、君に恋をする
一ヶ月後、私は退院した。

父親の運転する車で家に帰る中、流れる景色だけを見ていた。

病院の窓から見る景色しか知らなかった街は色鮮やかだった。

楽しげに歩く人。

あの中に自分もいたのだと思うと、私だけが世界から切り取られてしまったような気がした。


「さあ、着いたよ」


ここが私の家…

クリーム色の外壁。

茶色の屋根にモスグリーンの風見鶏が回る。

小さな庭には小さな花が咲き、白い天使の置物が点々と歓迎している。


「おかえり、由紀」


ドアを開けながら、父親が優しくそう言った。
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