キミじゃなきゃ……。
「頑張れよ!!」

「あっ…。うん……」

何を頑張るのかは
分からなかったけど
うなずいてみせた。

「いってらっしゃ-い」

お姉ちゃんの視線を
後ろに感じつつ、
あたしはひとり学校へ向かった。

「おは………ょぅ…。」

開けっ放しのドアから
こっそり教室に入った瞬間、みんなの動きが止まり、あたしをじっと見つめる。

「何??」

「……柊さんカワイ-」

「なんかすっごく変わったね-♪♪」

今まで話した事もなかった子達もあたしのそばに駆け寄り、あたしを褒めてくれた。

やっぱり、化粧はすごいなぁ~とこの時初めて実感した。

「おはょ♪あれ-??柊さん可愛くなったぁ-?」

「あっ…福原さん…」

「キャァ-♪♪柊さんってばメイクしたのぉ?」

「うん……。」

「ふぅ-ん……」

「んじゃあ、美緒!!作戦開始だよ-♪あたしら見守ってるからさぁ-♪」

彼女の言う作戦とは告白の事だろう。それに美緒は小さくうなずき、亮のもとに小走りで走って行った。

「ねぇ、美緒…上手くいくかなぁ-……」

「さぁ……いくんじゃない??だって今までに失恋した事ないんだよ-…。まさに狙った獲物は逃がさないみたいな??」

嫌でも聞こえてくる、
美緒のグル-プの子達の
話。

あたしは、顔を机に伏せた。

「柊さ-ん♪♪どうしたの??」

えっ??どうしたのって言われても普通だけど?
と思いつつも「別に?」と答えた。

「柊さんも一緒に話そ-よ♪♪だってあたし達、友達じゃん??」

「えっ??」

その子はあたしの腕を
強引に引っ張り、美緒達のグル-プに連れて行った。

「えっ??ちょっ……」

「あっ-柊さん♪あんた、美緒の恋、応援したらし-ね」

「ただの真面目ちゃんだと思ってたのに、いいとこあんじゃん♪♪」

「ほ-んと♪♪お弁当もウチらのとこで食べなよ-♪♪♪」

「えっ…、いいの??」

「あったりまえじゃん♪♪」


「……あっ!!美緒が帰って来た!!!」

「あっ!マジじゃん!!」

美緒はいつもより、
ご機嫌に鼻歌を歌いながら帰ってくる

「き-てよ!!さっき亮君にコクったらさぁ-即OKだって♪♪」

「やったじゃん♪♪」

「ねっ?柊さん♪」

「ぼ―」と
していたあたしに
急に喋りかけて来たのであたしは「………うん」と答えた。
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