キミじゃなきゃ……。
陸はいつも車で
あたしを家まで
送ってくれる。

「ねぇ-陸…」

「何だ?」

暖房が効きまくりの
車内であたしが
小さく呟く。

「愛理の事好き??」

「はぁ??意味分かんねぇ~」

「だ~か~ら…愛理の事好き??」

「嫌いって言ったら??」
「別に。」

「好きだよ。だから付き合ってんじゃん?」

好きだから……。
あたしは陸が好きなのかな??
ちゃんと陸を愛せてるかな??

陸…。
ごめんね。
こんな彼女で……。
こんな女で……。
こんなあたしでも
好きでいてくれるの??
愛してくれるの??

「あたしも……好きだよ………。愛してる」

本当にそう思ってるか
どうかはわかんないけどただ口から出た言葉。

あたしには
愛してくれている人が
いるんだよ??
好きでいてくれてる
彼がいるんだよ??

なのに………。
なのになんで
頭の中から
亮が離れないの??

ねぇ、どうして?

「……着いたよ」

「ありがとう…」

陸の言葉で
現実に引き戻される。

「んじゃあ、また電話するから」

「うん、待ってる」

陸にバイバイして
家に入ろうとした時だった。

「愛理……。」

あたしはゆっくりと
声のする方向に振り向く

「りょ……亮……」

上手く言葉にならない。
なんでここにいるの??

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