キミじゃなきゃ……。
あたしはそう言って
ひたすら自転車をこぐ。


「麻衣、ついたよ」

「あ-………ありがと」

麻衣はダルそうに
自転車を降りる。

「じゃあ、あたし帰るねっ!!また明日学校でね♪」

あたしは
明るく手を振る


「気をつけて帰ってね!今日はいろいろと無理言ってゴメン」

「あ-、いいよ全然…楽しかった♪今日はありがとう♪♪」

あたしは
一回地面を蹴り
自転車を走らせた。


パッと後ろを
振り向くと麻衣が
とぼとぼと歩いている


その後ろ姿は
とても寂しそうだった。

ガチャン!!

家につき
自転車置き場に
自転車を止める。

家には明かりが
ついている。


あたしは
鍵が閉まっていたら
どうしようかと
内心ドキドキしながらも平然と玄関に向かい
ドアに手をかける。



……玄関は開いている。
あたしは
そっと胸を撫で下ろす。

リビングには
お母さんとお姉ちゃん。

ウチのお父さんは
単身赴任で
東京にいる。

だからお父さんとは
もう、半年会っていない

「……ただいまぁ-…」


< 58 / 98 >

この作品をシェア

pagetop