キミじゃなきゃ……。
オヤジは複雑そうな顔でオレの方をじっと見る。
オレは思わず
唾をゴクリと飲む。

「亮、すまん!!」

オヤジがいきなり
深々と頭を下げる。

オレには
よく状況が飲み込めない
「俺の手違いでな、実は引っ越すのは明日なんだ…。亮も友達にさよならを言いたいと思うが明日の朝ここを出なければいけないんだ……」

「話ってそれだけ?明日の朝なら余計早く荷物をまとめなきゃいけないんだけど?」

「りょ、亮……」


驚いた様子で
オレを見るオヤジ。

「話はそれだけ?じゃあ………」

オレは
それだけ言って部屋を
出るとそのまま
ダッシュで階段を
駆け上がった。

「ううっ………」

オレは声を
押し殺して泣いた。

ただただ
次から次へと
涙が出てくる。

転校なんて
したくねぇ-…

なのに…………
なのに………

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