キミじゃなきゃ……。
「そうだな」

オレはそう言って
再び車に乗り込んだ。

車の中は
また無言が続いた。

オレは
ずっと由紀菜と
メ-ルをしていた。

由紀菜は
いつの間にか
オレにとって
掛け替えのない存在に
なっていた。


「亮、そろそろ着くぞ」
「う-ん…」

メ-ルに夢中なオレは
あいまいな返事をする。

しばらく走ると
住宅街に出た。

オレは
ふと窓の外を見る。

…すごい…………。

オレが
今まで転校してきた中で1番の都会だ。

たくさんのス-パ-や
コンビニ。
パチンコ屋。

オレは
目を輝かせた。

「着いたぞ」

オヤジの声で
車から降りた。

「こ…ここ??」

オレが見たのは、
でかくて
キレイな家だった。

「あぁ、そうだ」

オヤジも
嬉しそうに言った。

前の家は
借家でボロいし
時々雨漏りもしてたけど今度の家は
そんな心配はなさそうだ

「あら、こちらにお引っ越しされるのかしら??」
エプロンをつけた
主婦のおばちゃんが
オレたちに尋ねる。

「あ、はい」

オヤジが
すかさず答え
頭を下げる


「よっよろしくお願いします……」

オレも
頭を下げた。

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