キミじゃなきゃ……。
俊樹に聞いたら
彼女の名前は
“柊愛理”と言うらしい

いつもひとりで
友達もいない
地味なヤツだと聞いた。
でもなぜか
オレはいつの間にか
柊愛理が気になっていた

オレには
由紀菜という
彼女がいるのに……

そんなある日の事だった

「亮くん?ちょっといい?話があるの…」

同じクラスの女子が
オレにぶりっ子に近い
声で言った。

「えっ?別にいいけど」


オレは不思議そうな
顔をしながらも
承知した。


「あのね…、美緒、亮くんの事が好きなの……。付き合ってくれる??」

転校して
一ヶ月。

オレは
福原美緒に告白された。

噂では
顔は可愛いが
かなりの男好きで
性格は最悪だと聞いた。

「……ゴメン…」

オレは福原をフッた。

福原はしばらく
目を真ん丸にして
オレの顔を見た。

「亮くん…?もしかして柊さんが好きなの?」

「………分からない……でも正直気になってる」
これで福原は
諦めると思った。

………のに
彼女は意地悪そうな
笑みを浮かべた。

「あたしをフッたら柊さんが酷い目にあうかもよ?あなたは傷付く柊愛理を見ていられるかしら」

ニヤリと
まるで弱みを
握ったように笑う。

「………」

「あたしには亮くんが必要なのっ…お願い……」

「…いいよ……
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