キミじゃなきゃ……。
「えっ?亮クン??」

美緒が
目を真ん丸にして
戸惑っている。

「わりぃ~」

オレは慌てて
体を離した。

「亮……?」

「辛かったな……」

オレは
美緒に聞こえるか
聞こえないかの
小さな声で呟いた。

「りょ、……」

美緒は手で涙を
拭いながら
オレの胸に飛び込んだ。
「よく頑張ったな……」

美緒はこんな小さな体でたくさんの思いを
ひとりで背負って……。

「りょっ……」

美緒は
顔を手で覆いながら
泣いていた。

「行こう……」

オレは美緒の手を
ゆっくりと引き
歩き出した。

「おはようございま~す!!!」

担任の村岡が
朝からハイテンションな挨拶をしている。


「おっ!佐藤と福原はラブラブ登校かぁ~」

村岡が
ニヤニヤ笑顔で
冷やかす。


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