one.real

いつもの場面が、どうしてか違く見えたのは、きっと私に気付かせるサインだったの。

何の根拠も無いけど、神様はいつも意地悪だから、そうやって私を揺さ振りたいんだ。


‘俺のこととか気にしなくっていーよ?’


絋哉は、きっと、例え私が気を遣っていないと答えても、同じように私を気遣うんだろう。

絋哉は、きっと、例えば私が一緒に居たいと泣いたら、いつもと同じように優しく笑って私の手を取るんだろう。

絋哉は、


――絋哉は、もしも気付いたら…


それこそが、私が一線を引く理由なの。


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