one.real
潤
《ひとつだけ願いが叶うなら、ですか?》
《はい!この映画は願いがキーワードになっているそうですが、》
《そうですね、…もう一人、もう一人自分がいたら良いなって思います》
多分、その言葉の本当の意味に気付けたのは、俺だけだったと思う。
TVに映る親友にため息混じりに苦笑した。
最近仕事、仕事の碧杜(あおと)とも月に一度は会っている。順調な仕事と引き換えにしたものは大きかったけど…あいつにとってこの上なく。
リビングに響くインタビューの映像と声。それに混じってテーブルの上の携帯が大きな音を出した。