one.real
オーナーといっても、正社員な訳じゃない。
もともと高校からバイトとして勤めていたのが、始めて5年で2号店オープン。そっちが軌道に乗るまで店長代理を任される事になり、大学に通いつつ彼はにわか店長とやらを務めている。
本人曰く、"柄じゃない"らしいけど。
『潤』
呼ばれてコーヒーカップから顔をあげると、総司さんは俺を見ずに紅茶を淹れる手元に視線を落としていた。
碧杜の好きなアールグレイだ。
『もうどうにもなんねぇ』
作業を止めずに総司さんが紡いだ言葉を飲み込めなくて、俺はただ黙って耳を傾けてた。