one.real

戻ってきた総司さんからそれぞれ注文したものをもらい、数分。

『飲み過ぎんなよ、未成年』と釘をさされたにも関わらず、俺と碧杜のグラスはすでに空同然。

俺もまぁ強い方だとは思うけど、碧杜にいたっては仕事関係でアルコールには相当な免疫が出来たらしく、いつもいくら飲んでも潰れない。


『ウィスキーの良さがわかんねぇ』

『俺ビールがわかんないかも』

『ビールのが呑まされねぇか?』

『や、俺にお酒教えた人がウィスキー好きでさ、俺もなんかそればっか』


ーまぁ打ち上げん時は多少呑むけど。

空いたグラスの中、氷がカランと揺れる。




『……元気?』


一瞬の沈黙の後、小さく、呟くように問い掛けてきた碧杜の声は、酷く切なかった。



< 28 / 107 >

この作品をシェア

pagetop