one.real

だけど後方から飛んできた一つの質問に、俺は唯一“自分”で答えていた。


ーーひとつだけ願いが叶うとしたなら碧杜さんは何を望みますか?


俺が初主演したこの映画は有名作家の人気小説を映画化したもので、テーマは“願い”。




『…もう一人、もう一人自分がいたら良いなって思います』




その言葉の真意は大多数には伝わらない。


…彼女にこの言葉は届くだろうか。



もう一人俺が居たなら。


そしたら…。


でも、


やっぱり彼女を独占出来るのは一人でいい。


同じ自分でも、やっぱり俺だけでいい。


彼女の笑顔の理由にも、
彼女の涙の理由にも、


なれるのは俺だけでいい。


世界でただ一人俺だけで。


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