one.real

見直しも終えたらしい笑は勢いよく立ち上がる。


『はいはい、いってらっしゃい』


きっと私は、私が望むより‘幸せ’を掴んでる。

私は恵まれてる。


『憂ー水』


またグラウンドに視線を落として、ぼんやり笑を待つ私を呼ぶ声に振り返る。

入口に見慣れた笑顔を見つけて微笑んだ。


『絋、練習は?』

『休憩。笑先輩は?一緒じゃなかったの?』

『今職員室行ってる』

『ふーん』


慣れた絋哉との距離に穏やかな気持ちを覚える。

この優しい気持ちに安心する。


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