one.real
どうしてなんだろう。
耳で音として聞く名前というのは、どうしてこんなにも響き、胸に残ってしまうのだろう。
“なぁ、憂水―…”
時に記憶さえ、鮮明にしてしまう程に。
『あれ?さすがに憂水も知ってるでしょ?』
私が即答するかと思ってたのか、雑誌から視線をはずした絋哉の目がこっちに向いた。
『…知ってるよ』
『だよね、すごい売れてるし。なんか笑先輩とかスキそうな気がする』
『さぁ?どうかな』
“本当に、これでいいんだな?”
『ね、このDVDいつ借りよっか』
ページを捲って話題を変えた。