one.real

あの頃、それぞれにやりたい事があって。

手を放して離れた。





“…幸せ?なに、それ”





今もやりたい事は変わらずあるのに、絋哉の手を取って。

冗談を言い合って、笑い合って、優しいキスに安心する私は、酷い女なの?





“じゃあ…憂水はなれんの?幸せに”





…うん、なれる。

なるよ。幸せに。





『じゃあ、夜電話する』


いつもの約束に頷いて、出ていく背中を見送る。


“碧杜。スキ?”


絋哉は悪くない。

何も知らないから、だから私は側に居られるの。


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