one.real
“うまくいってるみたいで何よりだけど”
大丈夫。
うまくいってる。
…大丈夫。
開けっ放しの窓から強い風が入ってくる。
その勢いに捲れていくページはまたあの特集を開く。
〈僕はただ願うんだ、アナタの為に…今も〉
大きく映る綺麗な横顔を涙が伝っている。
〈“もう一人、もう一人自分が居たら良かったって思います――碧杜”〉
書かれたその言葉に、どんな願いが込められているかなんて知らない。
よく知っていたけれど、そこに写るのはもう知らない人。
遠くに行った人。
もう過去の人。
求めたのは、ずっと前。
あの時の私は、今の私じゃない。
『笑まだかな…』
蘇った記憶を払拭するように私は雑誌を閉じていた。