one.real

碧杜




例えば、誰からでも理解出来るように

その時の気持ちを表すとしたなら

それは俺にとってすごく難しい。



そうだな、まるで



全く期待していなかった当たるはずのない抽選に当選したような



必死に遮断してたモノが、ふいに目の前に転がってきてしまったような



俺にとって、その話は


またとない最後のチャンスであり


何度も味わった恐怖へのカードでもあった。






『あーおーとっ!』


都内ホテル。椎名さんとロビーを横切り、取材が行われる一室に向かおうとしていた時。

呼び掛けてきた声に振り向けば見知った顔がそこにあった。


『心(シン)』

『よ!撮影以来だな』


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