one.real

『無理でも何でもキャパが拡がりゃいい、格好つかなくたっていーんだよ』


その優しい言葉に安堵より不安を覚えた俺は、やっぱり変なのかな。




『…不恰好な商品は、売れるんですか?』



三浦さんの眉が少しつり上がる。



反抗、した訳じゃない。
嫌みのつもりもない。


キャパを拡げて、やり過ごす余裕を持たなきゃ、俺が潰れるのは目に見えてるから。


でも。



その言葉に俺が甘えたら、

ただこの世界で生きやすいように俺が無理にキャパを拡げたら、

格好つかない姿をさらしたら、

今の“碧杜”を好きでいてくれている人は、離れていってしまうんじゃないだろうか。


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