左手の約束
――『クライシ カエデ』
あたしは、心臓が止まるかと思うほどびっくりした。
一瞬、楓くんかと思っちゃった…
「あ〜、ウチらクラスEだから遠いなぁ…
志保子?どうしたの?」
「え、あ。
…なんでもないよ」
びっくりして動けなかったあたしに麻美が心配そうに聞いてきた。
「大丈夫?
…少し顔色悪いし。
また調子悪くなったら言うんだよ?」
「ありがと、麻美」
このところ、よく寝られないせいか
あたしはこの間貧血をおこしたばかりだ。
「とりあえず座って」
「ん…」
さっきまで、他の子達とイケメン転校生についてキャアキャア言ってた麻美が打って変わって心配そうな顔に。
「ごめんね、麻美。
大丈夫だからね?」
あたしはいつも麻美に心配ばかりかけてる。
「ホントにぃ?」
「ホントホント」
とても大切な友達。
あたしは笑顔で麻美を見た。