左手の約束
「あの子…お前の大事な子じゃなかったのか?」
大事な…子…か……
俺は怖くて振り向けなかった。
「泣いてたみたいだけど?」
「え………?」
さっきまで志保は笑ってたはず。
どうしたんだ…?
だけど
傍にはアイツがいる。
俺にはどうする権利もない。
「ホラまたその顔…(笑)」
北平はまるで俺の心を見透かしてる様に
少し辛そうに笑った。
「どうしてお前は何もしないんだ?
…あの子の事好きなんだろ?」
好き…………
ああ…そうだよ。
俺は志保の事が好きだ。