左手の約束
「あれ…お父さんは?」
リビングへ行くと二人分の食事しかなかった。
「今日は出張でいないの。
昨日言ったでしょう?」
聞いてなかったの?ってお母さんが笑う。
「…最近の志保子は心ここにあらずで一体何を悩んでるのかしらね?」
そう言って、あたしの目尻にそっと触れた。
あ…
泣いてたのバレバレだったんだ。
優しく微笑むお母さんに
あたしはまた泣きそうになる。
「こんなになるまで泣いてたら
心が疲れちゃうわね…」
「おか…さ…」