左手の約束
「夕飯冷めちゃったね。
お母さん温め直して来るから、
志保子は顔を洗ってきなさい」
「うん」
優しい…優しい空気。
あたしはこの空気に包まれて生活してきた。
楓くんは…
今までどんな辛い想いをして来たんだろう。
「…ふぅ」
あたしは冷たい水で顔を洗って
鏡に映る自分の顔を見た。
「酷い顔……」
こんなんじゃ駄目だよね…
―――『笑って』
『笑顔が見れたら最高だわ』
あたしは
楓くんを笑顔に出来る――…?
まだ
未来は決まっていない。
あたしは
楓くんの未来に
一緒にいたい―――………