左手の約束
そうは決めたものの、
やっぱり志保と出逢う事はなかなかなくて。
偶然に頼ってたら駄目だよな。
俺自身が
動き出さなきゃ意味がない。
「オッス、楓」
元気な北平の声で笑顔になる。
「おー」
「どした?
なんか吹っ切れた顔してんぞ?」
ニヤニヤと俺の顔を覗き込む。
「まぁな(笑)
…北平、昨日はありがとな。
俺、変わるから」
「…そーか」
嬉しそうに頷く北平がおかしかった。
“変わる”
そう言葉に出して言うだけで
俺は踏み出せた気がした。