左手の約束
「志保子、次移動だよ?」
準備しないの?って麻美が言ってきた。
「あっ、そうだった!」
慌てて準備をする。
「ちょっと、大丈夫?
本当は具合悪いんじゃないの?」
「違う違う。
ボーっとしてただけ」
何してんのあたし…
「ごめん、行こっ」
駄目駄目!
考えちゃ…
「うっわ、何!?あの人だかり…」
麻美の声に視線を向けると、前から近づいて来る人だかり。
よく見るとA組の子達みたいだ。
「もしかしてイケメンくん!?」
麻美の瞳が輝いた。
………はは。
好きだなぁ(笑)
そんな麻美の横で、あたしはまた
楓くんを思い出してた。
浮かぶのは無邪気なかわいい笑顔。
12年も経てば大分変わったよね?
背は高くなったかな…?
今も
あたしの知らないどこかで
笑ってるかな………