左手の約束
「ただの幼なじみって言ったくせに…
あんたさえいなければ…っ」
「きゃ…」
今度は逆に腕を掴まれた。
「ほら…そうやって被害者ぶって…
どうしてあたしじゃ駄目なの…!?」
「痛っ…」
強い力…
「あ…」
その瞬間、かけられてた力がフッと消えた。
「ずるいよ……
あんたがいるから…
楓くんはあたしを見てくれない……」
え………?
「楓くんはいつも藤沢さんを見てた。
…あたしの事、少しも見向きしてくれない……」
その子は泣きながらその場に崩れ落ちた。