左手の約束
「東くん」
「あ、志保子ちゃん!」
やっぱり今日も東くんは来ていて。
ニコニコの笑顔であたしに手を振る。
「話があるの…」
あたしは真っ直ぐ東くんを見た。
「何?どしたの?
……その調子だといい話じゃなさそうだな…」
それでも笑ってあたしを見た。
ごめんね…
ありがとう。
「やっぱりあたし…
…もう東くんとはいられない」
「なんだよ〜また言ってる。俺ら友達だって言っただろ?
……なんてな。
やっぱ駄目なんだ…?」
「ごめんなさい…
あたし…楓くんが好きなの………」
「その楓ってヤツと…
うまくいったんだ?」
東くんの言葉にあたしは左右に首を振った。