左手の約束
「でも…
やっぱりあたしは他の人といられない」
「報われないなら…そんなの辛いだけじゃん。
って…今の俺がそうか…(笑)」
ズキン
辛そうに笑う東くんに胸が痛む。
結局…
あたしは東くんを傷付けたんだ。
「ごめんなさい」
あたしは深く頭を下げた。
「…辛いよ?
俺が言うんだから(笑)」
またあたしは左右に首を振った。
「こっちこそ…今までごめん。
無理矢理押しかけたりしてさ」
「そんな事ないよ」
確かにあたしは東くんのおかげで救われてたから。
いまさらこんな事は言えないけど。
勝手過ぎる。
「頑張って」
そう一言を残し、東くんは帰って行った。
…最後まで
東くんは笑顔だった。
ありがとう。
好きになってくれて。
あたしはまた小さくなった東くんの背中に頭を下げた。