左手の約束
「志保!
悪い、遅くなった!」
慌てて楓くんが走って来る。
「いーよ(笑)
お疲れ様。試合、どうだった?」
「バッチリ」
そう言ってピースサインをして嬉しそうに笑う。
あたし達はどちらともなく手を繋いで歩き出した。
「あ、麻美がね、
楓くんにおめでとうって」
「ありがと(笑)
一年って早いよな…」
「だね…」
一年前はまだ
あたし達は手を繋ぐ事すら出来なかった。
「あ、また変な事考えてるだろ」
「違うよ!
楓くんと今こうしてられてあたしは幸せだなぁって、しみじみしてたの」
「しみじみって…
ばあちゃんか志保は(笑)」
「ちょっと!」
ムキになって顔を上げた瞬間
ちゅっ
突然キスをされた。