左手の約束
「うん。
似合ってるよ」
あたし達はお互い微笑み合った。
「じゃ、帰ろっか?」
「志保」
「ん?」
真剣な楓くんの目。
「どしたの…?」
「志保…手、
出して……?」
「手……?」
「ん。左手」
左…手……?
恐る恐る差し出した左手を楓くんが優しく包んだ。
「約束…なんて…
ただ志保を縛るだけかもしれないけど…」
「楓…くん……」
あたしの左手の薬指には
夕日に照らされてキラキラと光る
指輪――………