左手の約束
『おっきくなったら
ケッコンしようね!!』
幼い頃、あたしには大好きな男の子がいた。
いつも一緒に遊んで
いつも手を繋いで
…結婚の約束なんかして(笑)
ずーっと一緒にいられると信じて疑わなかったあの頃。
…懐かしいな。
だけどそんな想いも叶わず、引越しという悲しい現実。
小さなあたし達はどうする事も出来なくて。
ただ一緒に泣いたっけ…
『おっきくなったらケッコンしてね!!』
引越しする前の日、眼を腫らしてあたしにそう言って
『ゆびわ!!』
あたしの左手の薬指にオモチャの指輪をはめた。
『やくそくだからね』
それが楓(かえで)くんとの最後。