左手の約束
「じゃあ…」
そう言って歩き出した楓くん。
そこでやっと顔を上げる事ができたあたし。
きゅうっ
胸が…痛い。
「はぁ…………」
あたしはその場にヘタリこんだ。
またスカートに埃が付くのも構わずに。
そのまま楓くんの後ろ姿を見つめてた。
ね…?
もう解ったでしょう?
いつまでも思い出にすがりついて
馬鹿なあたし…
自分自身に苦笑する。
後悔…する?
こんな事なら
出逢わなければ良かった………?
ううん。
出逢わなかったら
もっと後悔した。
君に出逢えて
確かにあたしは
幸せだったから……