左手の約束
楓くんはいつの間にかいなくなってて。
お礼…言えなかったな…
どうやらA組の子達もカラオケに来てたらしい。
楓くんが助けてくれたんだ……
あたしはまだ信じられなかった。
「志保子、お待たせ」
「ごめんね…麻美」
部屋に置きっぱなしだった鞄を麻美が持って来てくれた。
「気にしないの!行こ?」
ポンポンとあたしの頭を撫でる。
麻美は、あたしの為に一緒に来てくれた。
せっかく仁志くんと一緒だったのに。
「まあったく…東のヤツっ!あたしらがいない隙に…っ」
どうやら…麻美と仁志くんは東くんの行動をあやしいと思ってたみたいで。
2人がたまたまトイレに立った隙の出来事だった。
「駄目だね…あたし。
やっぱ慣れないや…」
こんな事くらいで…
「志保子…」