左手の約束
「ほらっ!志保子、来たよー!!」
「あああ麻美っ」
あたしは麻美を引っ張る。
「ちょっと志保子ぉ!?」
「声がおっきいって〜」
あれから数日が経ってしまった。
今、あたし達がここにいる訳は
楓くんに逢う為。
…正確にはお礼を言う為なんだけど。
あの時
助けてもらったお礼を…
「志保子、痛いってば」
「あ、ごめんっ」
楓くんはあたしを助けた事さえ覚えてるかわかんないけど…
あの時、あたしは自分の気持ちを再認識したんだ。
楓くんが好き…
そう
想い続ける事を
もう止めたりしないって…
「あ〜行っちゃったじゃん」
「今はいいよ…」
いつも、楓くんのまわりには人がいるから
実際、近付くのは難しそうだ。