左手の約束
『またアンタか…』
また…って……
あの時助けてくれた事、
覚えててくれたのかな…?
「あの時も今日も本当にありがとうございましたっ!!!」
あたしは何度も何度も楓くんにお礼を言った。
自分でも呆れるくらい。
「…もういいから…」
最後にはため息までつかれる始末…
あ………
だって
何回言っても足りないんだもん。
「お前、隙がありすぎなんだよ。ボケっとしてるからああなるんだぞ」
グサッ
う…
痛い言葉…
ってか、楓くん
口が悪くなった……?
だけど
言葉とはうらはらに
今回も
あたしを助けてくれた………
そして今も、人通りのある道まで送ってくれるみたいで。
もっぱら楓くんの後ろをお互い無言で歩くだけなんだけど…