左手の約束
こうして
一緒に歩いてるなんて
夢みたい…
ううん
夢かもしれない。
夢でいいから
もう少し
このままでいたい…
だけど…
儚い夢はすぐ覚めて。
「じゃあ…」
「あ…はい。
ありがとうございました」
なんでだかあたしは敬語のまま。
もう一度ペコッと頭を下げた。
「もう、変なヤツにひっかかんなよ」
一瞬、少し笑ってくれた気がした。
それは呆れからなのか…
解んないけど
あたしの心はもうパンパンで。
コクコクと頷くのが精一杯だった。
それに満足したのか、楓くんはまた逆方向へと
帰って行った。