左手の約束


「何やってんの?」


「か、楓くんっ!」


え………?


突然女の子達の声が変わる。



「あ…あの…
藤沢さんにね?昔の楓くんの事聞いてたの」



「……へぇ」


低い低い…楓くんの声。


それは何とも言えない威圧感があって…


女の子達の勢いがみるみる萎んでいく。


「じゃ…行くねっ」


そう言ってそそくさと行ってしまった。





残された


楓くんと…あたし。






「あり…がと……」


「話してただけなんだろ?
なんで礼言うわけ(笑)」


楓くんだ……


あの頃の…笑顔……




きゅっと胸が締め付けられる。








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