左手の約束
「ひさ…しぶり…」
いまさらだけど
そんな事しか言えなくて。
情けないあたし。
「ブッ(笑)
いまさらだな」
ほら…やっぱり。
「保健室まで運んでくれてありがとう」
あたしは助けられてばかりだ。
「いや…」
「覚えてたんだ…あたしの事……」
「志保は変わってないな。
すぐ解ったよ」
「嘘だ……」
再会した時目が合ったのにそらされたし…
その後もそんな素振りなんてまったく感じなかった。
あたしの涙腺はゆるみっぱなしで…
「やっぱり変わってない。
泣き虫な所も…」
「う〜……」
ますます涙は止まらなくて…
「志保に泣かれると辛いんだよな…」
昔から…
そう言って困った顔をした。
「う…あ、ごっごめんね」
いつまでも泣いてちゃ駄目だ。
あたしはゴシゴシと目を擦る。