左手の約束


「ひさ…しぶり…」


いまさらだけど
そんな事しか言えなくて。

情けないあたし。


「ブッ(笑)
いまさらだな」


ほら…やっぱり。


「保健室まで運んでくれてありがとう」


あたしは助けられてばかりだ。


「いや…」


「覚えてたんだ…あたしの事……」


「志保は変わってないな。
すぐ解ったよ」



「嘘だ……」


再会した時目が合ったのにそらされたし…


その後もそんな素振りなんてまったく感じなかった。


あたしの涙腺はゆるみっぱなしで…


「やっぱり変わってない。
泣き虫な所も…」


「う〜……」


ますます涙は止まらなくて…


「志保に泣かれると辛いんだよな…」


昔から…
そう言って困った顔をした。


「う…あ、ごっごめんね」


いつまでも泣いてちゃ駄目だ。


あたしはゴシゴシと目を擦る。












< 67 / 148 >

この作品をシェア

pagetop