左手の約束
「楓くんって本当に彼女いるのかなぁ…」
「え……」
あたしの話を聞いて初めにつぶやいた一言。
「だってさ?
大切な人は作りたくないって言う人に彼女がいると思う?
楓くんが遊びで誰かと付き合うような人なら別だけど…」
「楓くんはそんな人じゃないもん!!」
あたしは思わず大きな声を出してしまった。
「シーッ!!
解ってるって!!だから余計考えらんないって言ってるの!!」
理屈は解るけど…
それでも
たった一人でも
楓くんが選んだ唯一の人がいるのかもしれない。
……その子は
幸せだね。