左手の約束


あたしなりに気持ちに答えを出して


前を見て歩こうと決めた日から

少しずつ、少しずつだけど
笑えるようになった気がする。



そんな、ある日――――



「志保子ちゃん」



「え……?」


あたしは一人で帰る途中、校門を出た所で呼び止められた。


目の前には……


「東…くん…?」


「覚えててくれたんだっ!?」


ぱあっと顔を笑顔にしてすごく嬉しそうに喜んだ。


覚えてるもなにも…


あんな事があったらね…


同時に楓くんの事までもが蘇る。


駄目っ…


あたしは無意識にブンブンと頭を左右に振っていた。


「志保子ちゃん?」


東くんの声にハッとする。


はぁ………


って!
どうして東くんがここに!?


あたしは思わず身構えた。








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