左手の約束
楓くん……?
「アイツ…この間のヤツじゃん」
「楓…くん…」
思わず口から楓くんの名前が出た。
「楓ってゆーんだ?
アイツ
志保子ちゃんの何…?」
何……って……………
しばらく目が合っていたと思ったら
フイっと目を逸らし
楓くんは行ってしまった。
あ……………
――ズキン
封印してたはずの気持ちが起きようとあたしの胸で暴れ出す。
―――ズキン
痛いよ………
あたしの瞳からは
また
涙が零れ落ちていた。