左手の約束
「志保子ちゃん!?」
「あ…ごめ……っ」
どうしよう…
止まんないよ………
あたしは、流れ出した涙をどうにもできなくて
ただ…
その場に立ち尽くしてた。
「は…あ………」
「大丈夫?」
なんとか治まった涙を拭いて、
あたしは深呼吸をした。
「あ…うん。
ごめんね。
あたし……帰るね」
はやくこの場を離れたい。
「なぁ、この間も思ったんだけど…
志保子ちゃんの目の下のクマも…その涙も
……全部あの楓ってヤツのせいなんだろ?」
「…っ違う!」
あたしは大きく頭を左右に振る。