私の中の眠れるワタシ

サナミは、本当に元気な私に気付くのが早い。

「おっ!今日は調子いいじゃない?」

「今日が大会だったら、優勝する自信あるよ!」

「え?蜜は毎日、自信あるんじゃなくて?」

くだらない掛け合いも楽しい。

こんな調子で、さらっと言っちゃえば?
ほら、先生に。今日なら言えそう!


……いやいや。私はまだ、大切な試合を控えている。恥ずかしくて、先生と話しにくくなったら大変だ。

恋より部活!

なんだかずっと、変な病や妄想に取り付かれていたような気がした。



でも、やっぱり。
美月と二人きりになっても、このままの自分でいられるかは、自信がない。

美月は、私を無理に背伸びさせようとする。

自分で勝手に背伸びしたくなってしまうのだけど……
それも、美月と一緒にいたらの話。

もう、しばらく話す事はないのだから、先生に恋する前の、学校生活をただ、より良く過ごす事だけに集中していた、私に戻れたらよいのだ。




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