私の中の眠れるワタシ

サナミ




今日も、いつもと同じテニスコート。

サナミも、同じ。

「蜜、昨日のドラマの最終回、録画してない?」

私はそんな普通の会話にも、ドキドキしてしまう。
サナミ、あの秘密の話、本当なの?秘密にしてる事も、本当?

……いいや、聞かない。サナミは私に、あれこれ詮索したりしたこと、なかったじゃない。

私は、サナミの、そういうところも、好きだと思ってるじゃないの。


もうすぐ、最後の大会も近い。私とサナミがこうして、毎日同じ場所に立って一つのボールを追いかけ、泣いたり笑ったり。そんな事が日常である時も、終わりが来るのだから。



いつもどおり、笑い合う。その声、その仕草……
たしかに、かわいくなったような。
恋人がいるだけで、そんな風にイチイチ見えてくる私のガキ臭さも、笑えてしまう。

「ね、今日も、一緒に帰らない?」

「今日……も?私と?え、いいの?」

その突然の誘いに、不自然に驚いてしまう。

「いいの?って、なにさ。アハハハ!いいから、いいから!蜜、最近動き、悪いよー?!練習、しすぎ!!」

「う、うっさい!足りないくらいじゃ!」

練習を終えて、ラケットケースを背中にしょったサナミが待っている。



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