私の中の眠れるワタシ
サナミの家の前は、たくさんの人が出入りしていた。
小さなお店を経営してた実家には、少しだけど駐車場があった。そこも、奥の車は出られないくらい、ミチミチになって車が停まっていた。
大変そうだな。
私はさっさと渡して帰ろうと思った。
玄関先でうろうろしてた、私より年下の女の子を見つける。
「あの、私サナミさんと同じ部活の、長崎といいます。サナミさん、いますか?」
「おねえちゃんですか。ちょっと待ってて下さい。」
妹らしかった。
大勢の大人が出入りするので、家の中に居場所がないような、そんな感じだった。
しばらくして、サナミが見えた。
「蜜、わざわざ来てくれたの?」
泣き腫らした目をしていたが、家族とともに、通夜や葬式の準備を少しでも手伝おうと、エプロンをしていた。
「これ、届けてほしいって、先生が。
……大変だったね。」
なんて言ったらいいか、わからない。
まさに、幸福と不幸で分断されているのは、この状況だった。
私は、そんなに幸福でもないけど。