私の中の眠れるワタシ
「うん。悪いね。……あの、昨日の事だけど」
「ああ、いいよ、今する話じゃないよ。学校きたら、話そう。しっかりね。」
私はそう告げて、サナミの家を後にした。
数日経って、サナミは登校した。この間、私は練習に身が入らなかった。
ペアが休んでいるし……
みんなはそう思っていたようだけど、勿論それだけじゃなかった。
サナミは、みんなに囲まれて、大変だったねと声をかけられていた。
それでも、数日前のような、沈んだ雰囲気はなく、
「ま、しょうがないよ!こればっかりは、順番なんで!」
と、明るく答えていた。
でも、この頃私は知らなかった。
あの店は、おじいさんが主体で切り盛りしていた。
店の大黒柱を失った事に、どれだけのダメージを、サナミの家が受けていたのか。
子供の私には、理解できるはずもなかった。