私の中の眠れるワタシ

先生は部活の最後に、

「まだまだ下級生だけで練習するには、大変なところもある。三年生は卒部だが、できれば下級生の指導に顔を出してくれたらありがたい。」

と、みんなの前で言った。

でも、私はわかる。去年の立場で考えたら、新しく部長になった子にプレッシャーをかけるし、いつまでも来られるのは、迷惑。

かと言って、何も引き継ぎをしなかったら部活が混乱するのも理解できる。

週に一度くらい顔をだそう。そして、十月までには、もう引き継ぎを終えて、後を託そう。


そう決めた。


私の代は、薄情なもので、卒部したらもう誰も部活には行かないと言った。
たしかに、受験も近い。
だけど、私だけでも行って、たまには息抜きしよう。ボールを練習のために打つことはない。それでも、長く握ってきたラケットと別れる事だけが寂しかった。



学校の委員会が終わったある日。
テニスコートをふと窓からみると、練習が中断し、コートの中で二年生が何か話し合いをしているようだった。



< 123 / 433 >

この作品をシェア

pagetop