私の中の眠れるワタシ
私達が抜けても、まだ三十人くらい在籍するテニス部は、彼女一人でなんとかできるレベルではない大所帯だった。
「先輩達がいなくなって、今更ですが、ありがたみを感じます。」
彼女は、すっかり弱気になっていた。
「実は去年の今頃。私も少し悩んだよ。まあ、ケンカにはならなかったけどさ。
やっぱり、上級生いなくなるとホッとするから、ゆるむのは、しかたないよ。
……今思えば、私も少し、神経質になっててさ。」
「そうだったんですか。知りませんでした。」
「そうそう、そんなもんだよ。
あまりカリカリしたらダメ。一緒にふざけて、たまに皆と一緒に先生に叱られたら?
私は、皆あっての部活だと思うし、部長でいられるのも、指名されたからではなくて、皆が信頼してくれるからだと思うよ。
まー、そんな立派な部長でもなかったけどさ!!」
最後は明るく彼女の背中を叩いた。
ちょうどその時、先生が遠くから見えた。