私の中の眠れるワタシ

明るく、とりとめもなく話し続ける先生は、まるでこの香りをごまかしているような気がした。

私は、曖昧に笑う。

あんなに待ち望んでいた時間なのに、こうして無駄に流れていく事が、切ない。



突如、私は決断した。

もう、今日しかない。
これは、神様が一年前から見ていて、今日改めてくれた、チャンスなんだ。

そんな勇気が、ムクムクと湧いてくる。


「あの、先生。」

私の急に真剣な様子に、先生もふとこちらを見る。

「どうした。」

「一度、ちゃんと聞いてもらいたいお話があります。」

「車の中でか?今?」


もう、後戻りできない。


「はい、今です。」


情けない。友達の告白には散々、明日頑張れ、きっと言える、大丈夫と言ってきたけど。

自分の事となると、大違いだ。

心臓が痛い。

唇も、乾く。

呼吸が苦しくなる。

気付けば、手まで震えてる。




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